OMORI 考察、解説などメモ置き場

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夢と現実の対比について① ストーリー&世界編

この記事では

夢の中に現実とよく似た出来事が存在すること

ブラックキーを辿る物語と、そこへ導くマリとストレンジャーの行動

スイートハート城は「帰りたい場所」にあること

これらのことから

ヘッドスペースが奇妙な存在であることについて記述しています。

夢と現実の対比については、あくまでも個人的に似ていると感じた部分を抜き出したものです。実際に対となっているのかはわかりません。

また時系列や状況的にサニーが知りえないものであったとしても、対となる可能性があるものは書き出しています。

ヘッドスペースが完全なる想像の世界か、あるいは心を写す空間でありながら違う世界なのか、その解釈によって受け取り方が変わると思われます。

ストーリー関連

バジルへのいじめ

バジルをいじめから助けるシーンは夢と現実、どちらにも存在します。

夢の世界ではベルリーがボスと対立する側に居ましたが、現実でのキムはバジルを痛めつけていました。そしてボスと戦う側にいたオーブリーが、現実ではフーリガンズのボスとして現れました。

ボスにオーブリー的なところがあるとはあまり感じませんが、実は相手のことを気にかけてもいた、という部分は似ているかもしれません。

アルバムをめぐる争い

夢の世界でもケルとオーブリーはアルバムをめぐって争います。

アルバムに写真を戻す作業があることも、戻すときにヒロがいう言葉もそっくりです。

彼らは写真を戻す作業を経て一応仲直りをします。どちらもその後ケンカをすることに変わりはありませんが。

スペースボーイ

サニーとスペースボーイの共通点

スペースボーイの段ボールだらけの家はサニーの家の様子に似ています。

ヘッドスペースの冒険は繰り返されている様子があるものの、過去もこのような光景だったのかはわかりません。

人格が2つに分かれ、寝込んでいる男。それによって仲間が離れ離れになろうとしていること。名前を変えている事。大切な女性を失っている事。思い出の品を取り戻す事。段ボールだらけの家。

スペースボーイはサニーと似た部分の多い人物ではないかと思います。

 

ミックステープを捨てたスペースボーイとアルバムを捨てたオーブリー

以前の記事でも触れましたが、スペースボーイが思い出のミックステープを捨てた理由は、オーブリーがアルバムを捨てた理由と似ているのではないでしょうか。

彼女はアルバムを捨てた直後、何かを思うようにゴミ箱を振り返っていました。

オーブリーは何も、バジルを痛めつけるためにアルバムを奪ったわけではありませんでした。それは彼女なりに、皆の思い出を守ろうとしての行動でした。

しかしこの日公園でサニーにナイフで斬りつけられ、彼女はショックを受けた表情を見せたあと、膝をついて崩れ落ちました。教会では正義感に駆られたケルに大声でドロボーと叫ばれ、大勢の人々が自分を侮蔑する光景を見る事になりました。

追い詰められた彼女は涙を見せたあと、教会から走り去っていきました。

オーブリーにとっては自分が守ってきたものは何だったのか、かつての友情が写されたアルバムを見る事すら、もう辛くなってしまったのではないでしょうか。

もちろんこの事態を招いた原因はオーブリーにもあると思います。しかしどちらにせよ彼女が守りたかったものは、めちゃくちゃになってしまったと感じていたと思います。

 

ケルが激怒させるシーンと、サニーがアルバムを塗りつぶすシーン

ケルが大音量でCDを流しスペースボーイを激怒させるシーンです、

この時ヒロとオーブリーはケルを止めようとしました。2人は失恋した船長に思い出を振り返らせるのはマズいと、自然と感じとったのではないかと思います。

ホワイトスペースを抜ける際に流れるムービーに、上記のようなシーンがあります。

この時のバジルはもしや、ケルと同じことをしてしまったのではないでしょうか。

サニーにとってそこに写るのは全て、自分自身の手で壊してしまったものばかりです。

自分を愛してくれた姉。理想的なカップルだったヒロとマリ。自分を信頼してくれていた親友たち。すべてが自分の手で失われた物であり、そして自分が苦しめている相手です。

サニーもまたスペースボーイと同じ状況にあったのではないかと思います。

思い出を振り返れば辿り着くのはあの日の真実。必ずそれを連想するはずです。彼がその記憶と向き合えない限り、トラウマを再体験してしまいます。

そしてスペースボーイが発狂して第二の人格が現れたように、サニーもこの時正気を失ったのではないでしょうか。

ちょうどオモリルートでアルバムを持っていると、いつの間にか写真が塗りつぶされているのと同じように。

 

スペースボーイの忠告?

あまりにもサニーと似ているため、スペースボーイはかなりギリギリの存在となっているように思えます。もしスイートハートが恋人ではなく姉という設定だったなら、すぐさまブラックスペースに送られているのではないでしょうか。

スペースボーイのこの言葉は、まるでサニーがすべきことを予見しているかのようです。

この夢から覚めたあと、サニーの元にケルが訪ねてきます。

その先は夢と同じく、思い出の品を取り戻す旅路が待っています。

思い出の品はどこにあったでしょう?どちらもゴミだらけの場所です。

オクブカ井戸の出来事

ホワイトスペースからオトナリルームに出た時、一瞬オモリを迎えてくれる皆の姿が見えます。

しかしそれは幻影でしかなく、本当の彼は一人ぼっちでした。

オモリは自分を探しにきてくれたケルと合流し、オーブリー、そしてヒロに会いに行きます。

友達を取り戻したオモリは3つの障害(料金所)を抜け、シンエン井戸へとたどり着きます。

シンエン井戸に居るのは3つの大いなる者の1人ハンフリー。枝サンゴは彼を長い年月に心が削られ、自分の体にしがみつく寄生虫だと評していました。

ハンフリーは体の中に自分だけの世界をつくり、それを3人の魔女に管理させていました。

ハンフリーもまたサニー自身によく似た存在です。オモリはハンフリーを打ち倒し、旅の終わりの地へと向かいます。

まるでサニーが辿った物語です。

ブラックキー

ブラックキーは主にバジルを探す旅路の中に配置されています。

例えば濡れたマクラの下にあるブラックキーは、必然的にスペースボーイを起こさない限りとることができません。

失われた炎の中ともあることから、最初からあしながおじさんのいる迷いの森に訪れることも、想定されていたように思えます。

かつてブラックスペースがあった場所は、全て恐怖症によってたどり着けない場所にあります。

マリは常にその恐怖症と向き合うよう行動させ、突破させています。そしてその先に行くことによって物語は進み、ブラックキーは集まっていきます。

シンエン井戸の言葉のとおり、マリは次に行くべきところへ導いているようにみえます。

大きな額縁の中=イセカイの納屋の中にはストレンジャーが導きます。この言葉を見ると、マリもさりげなくそこに誘導しているように思えます。

納屋のあるエリアは普段は草がたくさんあるだけの場所です。

しかしストレンジャーの介入を受けると様子は一変し、まるでMEMORY LANE(バジル戦後の追憶の世界)の名残のような光景が広がります。

ふ頭の灯台は北の湖の先にありますが、白黒マリが現れたときだけにしか行く事ができません。そしてそこにも記憶の名残のようなものがありました。

かつてブラックスペースの入口があった場所は、何かしらの介入を受けた時にその名残をみせているようです。

以前の記事でも触れましたが、マリにはどうやらストレンジャーが見えています。

城の地下へ直接誘導したのはストレンジャーですが、マリもさりげなく地下図書館の存在をほのめかしていました。そしてそこにもブラックキーがあります。

またそこは白黒マリが現れた場所でもありました。

ヘッドスペースの物語において、この3者は重要な役割を果たしているようです。

ヘッドスペースとは何か?数々の魅力的な謎

ブラックキーは彼らの存在を前提として配置されたのでしょうか。それともブラックキーがあるところに彼らが導くのでしょうか。

ド田舎おじさんは真実を見つけようとする人が現れる時、世界がカギ一式を段取りすると話していました。カギは人の意思によって姿形を変え、シンエン井戸の声によればその形は毎回変わっているようです。

はたしてカギが生み出された時点で、どこまでが想定された出来事だったのでしょうか。そして世界の一体なにがカギを生み出すのでしょうか。

そしてよく見ると夢の世界は、夢見人を導く多くの存在が隠れています。

夢の世界のマリ。白黒マリとストレンジャーの存在。夢見人と多くの共通点を持つスペースボーイ。真実や世界の成り立ちに触れるあしながおじさんと枝サンゴ、そしてド田舎おじさん。

「帰れる場所」を示唆する城の主。夢見人の罪を知っていたシンエン井戸の奇妙な生物たち。シンエン井戸で語り掛けてくる窓の向こうの声。

かつて夢見人の意思に反し追放された、最も賢明なる者。ブラックキーの存在。ブラックスペースを徘徊する複数の影。

その多くが封じられた真実の存在を知る者たちでした。

良心の象徴とするには多種多様ですし、本当に異世界があるのだと捉えようとしても、荒唐無稽に思えてしまうかもしれません。

ヘッドスペースとは何か?

その謎はまだまだ魅力に満ちているといえるのではないでしょうか。

スイートハート城の場所

スイートハート城の出来事は現実にあてはまる部分が無いように思えます。

スイートハート城とはスイートハートが城の主に懇願して得た場所であり、スイートハートの最も強い願望を表した場所として説明されます。

そしてその説明は以前の記事で書いた、帰り道の世界とよく似ているのではないかと思います。帰りたいと思う場所、道に迷ったときに行こうとする場所。(わかりにくい部分があったので対象の記事を少し修正してあります)

ヘッドスペースへの入口は十字路の真ん中にあります。そして北には現実と同じく湖があり、東にはイセカイがあります。西はサニーの家ではなく、ヒバナ森とスイートハート城があります。たまり場の南側にはバジルの家があります。

ヒバナ森についてはイセカイのはしごや北の湖と同じく、恐怖症によって通れない場所という役割をもっていました。

そしてバジル戦後に行くハルバル町でも、サニーは最初に十字路の真ん中に立っていました。そこはバジルのお婆さんが立っていた場所でもあります。

サニーにとっての帰りたい場所、居場所だと感じる場所は西にあります。これは城の主の言う「いつでも帰れる場所」の位置とよく似ています。

方角に関してはどちらもケルが教えてくれます。

ただしあしながおじさんによると、ヘッドスペースは過去に他の世界と統合されており、厳密に全てが一致するものではないと思われます。

OMORI 城の主

ひょっとすると、これはどちらも同じ世界なのではないでしょうか。ド田舎おじさんの言う、人によって見え方の違う世界。世界が生まれた日からずっとある場所、毎回形が違う世界。

城の主は魂が2つに分かれていても、歩める道は1つのみと言います。サニールートでは城の主の居た場所を「自分の家」として生み出したのではないでしょうか。

その場合、スイートハートはヘッドスペースにおいてその場所を乗っ取った、単なる住人に過ぎないとも捉えられます。

完璧主義的で周囲にも高い基準を求める、強い自己顕示欲とナルシシズムの持ち主。現実世界に該当しそうな人物はいるものの、あまりサニーとは関わりがない人物でした。

どちらにせよ地下図書館に行くためには、スイートハートを倒す必要があったわけです。

 

その他にも紹介したい部分は多くありますが、長くなったので別な記事で続きを書こうと思います。

この記事は一部のアイディアをみなみもちさんから頂いています。