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バジルのこと

この記事は

ヒロとオーブリーの関係(対比のため)

マリとバジルの関係

「残されたもの」の意味

この3つについて、現在の私の解釈を書いています。

ヒロとオーブリー

マリとバジルについて考える前に、対比としてヒロとオーブリーについての考えを書きたいと思います。

このタッチには、オーブリーのヒロに対する憧れや信頼感が現れているのではないかと思います。ケルのセリフの中にも、昔からオーブリーはヒロに対してお利口さんだったというものがありました。ヒロ自身も湖でのバジルとオーブリーとの出来事を聞いたとき、最後まで彼女を信じていました。

どちらの世界であってもオーブリーにはヒロと一緒にいる場面があります。会話の内容が明示されていないのでわかりにくいですが、2人が会話する場面も意外に多かったように感じます。また昨年に発表されたカレンダーのイラストでも、彼女はヒロのそばにいる場面が多く描かれていました。

オーブリーは非常に高いハート値を持っています。その高さはサニーとケルの数値にクリスの首飾りを足しても、まだ届かないほどです。そしてよくジョギングをしているというヒロにせまるほどです。つまり成長によって自然についた体力ではなく、彼女自身の何かしらの努力によって得られたものなのではないでしょうか。数値の近さを考えると目標はヒロであったのかもしれません。

マリとバジル

ひまわりはバジルが自分自身の願望を込めた花で、6人の花の中で唯一人物を客観的に表した花ではありませんでした。

もしバジルを客観的に表した花があるとすれば、デイジーなのではないでしょうか。デイジーはブラックスペース、オトナリベッドルーム、そしてバジルの草原などで見られ、明らかにバジルを表す花として登場します。太陽が昇ると花開く、innocence(純潔)とbeauty(美)の花言葉を持つ花。

夢の世界のオーブリーはバジルは人の嘘を簡単に信じてしまうと話していました。これはある意味で、イノセンスという人物像に合っているのではないでしょうか。

世界や闇を知らない純真な人。悪く言えば世間知らずでただ無防備な人。ゆえに守ってあげる必要があると思う人。

そしてひまわりに込められた願いは、マリを表すスズランの意味によく似ています。

これについては夢の世界のバジルはハッキリと

「マリちゃんみたいな人になりたい」と語っていました。

つまりバジルにとってのマリとは、オーブリーにとってのヒロのような存在だったのではないでしょうか。憧れの存在、自分の目標となる人、兄や姉のように慕える人。

この2枚はサニーが撮影したものです。サニーが居ない時にバジルの側にいるのは誰だったのか、この写真は捉えているのではないでしょうか。夢の世界でも仲の良い2人の様子が見受けられ、6人の中でもマリとバジルは気があう仲だったのではないかと思います。

ちょうどそれは、ヒロとオーブリーに仲の良い一面があったように。

そしてそうした関係であったのであれば、この風車の配置にも説明がつくかもしれません。マリの隣に立つべき風車はもちろんヒロでしょう。そしてヒロとケルの兄弟、マリとサニーの姉弟は斜め隣に配置されています。バジルはマリに対し、サニーと同じく斜め隣の位置にあります。これはヒロとサニーを除いた3人の中で、マリと最も親しかったのがバジルだったことを表すのではないでしょうか。

バジルの行動について

残されたもの意味

しかしそうなると、バジルは親しかった憧れる人を木に吊るしたことになります。

何故そんなことをしたのでしょう?何が彼をそこまで駆り立てたのでしょう?

マリを殺めたサニーに対し彼は何を思ったのでしょう?

ストレンジャーはその出来事についてこのように語っています。残されたものを傍に置きたかった。しかし結局はサニーまでも離れていったと。

作中でこの言葉の意味を推察できる部分といえば、まずこの2つでしょうか。

両親の居ない暮らしをしていた彼に幸せを与えていた存在。彼にとって失うものが怖かった存在。サニーの過ちを目撃したバジルは、咄嗟に失いたくない物を守ろうとしたのではないでしょうか。

物語の冒頭で、泣いているサニーに「大丈夫、きっとうまくいく」と、語りかけているバジルの映像が流れます。姉弟の争いと惨劇を目撃したバジルは、この時のサニーの様子から起きた出来事を理解したのではないでしょうか。そして想像したのではないでしょうか。ヒロもオーブリーもケルも、そしてバジルも皆マリを愛していました。そして誰もが心からサニーを信頼していました。そのサニーが友情の象徴とも言えるバイオリンを壊し、マリを殺害した事を皆が知ればどうなるのかと。もうかつてのような関係に戻ることは無いのかもしれないと。

もちろん一番の親友だったサニーを守ろうとした、という解釈も成り立つと思います。しかし残された者という言葉を当てはめようとすると、例えばマリを守るためにサニーを木に吊るしたりするものでしょうか。バジルはヒロとマリの2人の姿も多く写真に収めており、本当にお似合いの2人だと書き記していました。少なくともマリに対する、恋愛感情のようなものは持っていなかったように思えます。

「残されたもの」とは姉弟のどちらでも良かったという意味ではなく、友人達全てだと捉えた方が、動機としてよりあてはまるのではないかと思うのです。

稚拙な隠ぺい工作

しかしバジルの隠蔽は子供じみていて、そして冷酷な方法でした。おもちゃ箱を踏み台として見せかけ、縄跳び用のロープを使った自殺の偽装。バジルは他人のウソに簡単に騙されてしまう側であって、ウソをつく側として立ち回れる人では無かったのかもしれません。

ブラックスペースで木を切っていた男の様子から、その工作はサニーの両親に簡単に見破られていたのだと思います。ブラックスペース2にある車に乗って男の人が去っていった光景も、この事件によって父親が家を去ったという事なのでしょう。

そしてその真実はバジル自身をも追い詰めていた様に見えます。

ストレンジャーの言葉と冒頭の映像を考えると、元々バジルは起きた出来事を正しく認識できていたはずです。しかしそれは最初の内だけだったのかもしれません。木に吊るされ風に揺らめくマリの遺体、その遺体と目が合った時のトラウマ。そして崩壊していくサニーの家庭、マリの自殺を信じて苦しむ友人達。

バジルもまた自分の罪と向き合えなかったのではないでしょうか。

現代のバジルは存在しないはずの「何か」の記憶を作り出し、自分の行動を、サニーを守るための正当なものとして信じようとしているように見えます。ホワイトスペースから抜け出る際に見える映像や、ブラックスペースのバジルの言葉にも同様なものがあり、4年前の時点で既に歪んだ認識を持っていたのだと思われます。

真実とどう向き合うのか、未来をどう選択するのか。結局のところそれは、サニーにしかできない事だったのでしょう。

 

 

 

omori バジル

イラスト提供

あんな・anna on Twitter: "“I always dreamed that you would come back for me…” happy birthday basil! https://t.co/PgOohrsgi0" / Twitter