の続きとなります。
スペースボーイに仮説をあてはめてみる
スペースボーイ船長に関わるストーリーはどこか現実の問題に即しているところが多いと感じます。
恋人を失い寝込む様はまるでヒロのようです。それを無理やり起こそうとして激怒させる様はヒロとケルのエピソードに似ていると言われています。
自分の中にもう一人の邪悪な人格が潜む様はサニーのよう。
名前を変えようとするのもサニーを思わせます。あるいはミカエルもあてはまります。
スペースボーイが寝込んでいて出てこないばかりに、仲間達がバラバラになっていく様も現実の5人を思わせるものがあります。
スペースボーイがベッドで寝てても傷が癒えないから、友達とすごそうという言葉はサニーにとってこそ必要なことでした。あるいは過去のヒロにとっても?
サニーがホワイトスペースに沈んだ様子と、スノードームマウンテンで無になろうとしている姿もよく似ています。
無になるのをやめ、正気を取り戻して父の元に向かう姿もサニーがとるべき未来なのでしょうか。ジェシー(ヘッドホン少年)にも部屋に閉じこもるのをやめ、父親と話し合う場面がありました。
他にもゴミ捨て場に大切な思い出の品を自ら捨て、それを取り戻せたことに喜ぶ場面がありました。
現実ではオーブリーに大切なアルバムを捨てるシーンがありました。
ゴミ箱にアルバムを捨てたあと、躊躇するかのようにゴミ箱を振り返っています。
彼女と和解したきっかけがアルバムであったことを考えると、その心情はスペースボーイに近いものだと思います。
そしてこれらは偶然なのでしょうか?
ヒロが寝込んでいたという話はケルと外にでたあとに初めてわかる秘密です。
オーブリーの行動に至っては未来の出来事です。今回の「仮説」を使ってこれらに答えを求めようとするならば、彼らの心が反映された存在だからということになるでしょうか。
彼らの共通点として部屋にスペースボーイのポスターがあります。ホビーズに船長の等身大パネルがあることからも、未だ子供に人気のヒーローのようです。またサニーの家にもスペースボーイの古いアクションフィギュアがありました。
スペースボーイが彼らの心を反映させた存在なのだとすれば、これらの共通点を関連付けられるはずです。
ヒロは漫画に興味がなかったとケルは言っていましたが、ケルにとってのヒーロー像とはヒロであったのではないでしょうか。ヒロと言えども大切な人を失うとベッドに寝込んでしまう、と。
自分の世界に閉じこもる様はサニーのようでもあります。
ケルは夢の世界であってもいかにもケルらしい人物でした。
彼が似た状況に置かれれば、起きる出来事もまたそっくりになるのではないでしょうか。
そして思い出の品を捨て過去を忘れようとする様子がオーブリーと重なるのも、彼女の心理が関わる存在なら同じ事をするはずです。
他にも名前を変えて過去の自分を捨てる姿はマーヴェリックに、父親と話し合い涙する姿はジェシーに通じるところがあります。夢の世界の住人が人々の心の中に住む住人だとすれば、スペースボーイの負の感情は彼らの負の感情に似るのではないでしょうか。
スイートハートに仮説をあてはめる
スイートハートは非常に長い経歴が語られるキャラクターです。
スイートハートの歴史はロココ、城の主、スペースボーイ、
そしてスイートハート本人の話をまとめる必要があります。
スイートハートは精巧な人形のような姿をした娘で、貧しい砂漠からこのスイートハート城にやってきました。砂漠で暮らしてい当時の経歴はロココから語られます。
ロココは故郷の星が爆発し、宇宙を彷徨うポッドの中にいました。プルートと地球はスペースボーイの太陽系に縛られるまで、出会うもの全てを木っ端みじんにしていたと言っていましたが、ロココの星を破壊したのも2人だったりするのでしょうか。
そしてロココはポッドによってオレンジオアシスにたどり着きました。
彼を子供だったスイートハートが見つけ、ドーナツ一家の養子として一緒に育ちました。子供時代の2人はよくケンカをしていて、反抗すると必ずロココがひどい目にあっていたようです。
ある時2人は恋に落ち結婚の約束をしてスイートハート城に引っ越してきました。
スイートハートはその城を、城の主に土下座で懇願し手に入れたようです。
しかしスイートハートはそうして手に入れた強大な力に満足することなく、その欲望は膨れ上がっていきました。そしてロココとも疎遠になっていき彼を壁の中に幽閉しました。
城の主はそれは「呪い」なのだろうと表現していました。
本来持ちえないはずの大きな力を得ても欲望が満たされることなく、
増長も進むばかりだったのでしょう。
また彼女はヒロに振られた際も自身の落ち度を認識できていないようでした。
スペースボーイと恋仲になったのは、このロココ幽閉後のことだと思われます。
城で上映されている映画とスペース元旦那のセリフを見る限り、恋仲になったあとも浮気をしていたようです。スペースボーイと別れたのち、
「スイートハートのドキドキクエスト」という番組で理想の結婚相手を探していました。主人公一行が城にやってくるのはその時期です。
水中高速道路でお金を使い果たしてしまいながらも、一文無しとは言い出せない見栄っ張りな性格。尊大な態度、強い自己顕示欲を持ち完璧を自称する自信家。
そして自分の落ち度を他人のせいにする他罰的な思考。
彼女を果たして仮説で説明できるでしょうか。
キャンディショップの店長であるキャンディスお姉さんは、スウィートハートによく似た出で立ちをしています。
ヘッドスペースにいるスウィートハートのモデルというより、単純に彼女自体がスウィートハートのファンなのだと思います。
自分の等身大パネルをまっさきに目につく場所に置いている様子から、強い自己顕示欲はこの人物の心からだと思います。怒るととても怖いと言われ、その片鱗を店員がニッコリと笑顔を言い間違えた際に見ることができます。
またその様子から彼女は完璧主義者なのではないかと言われています。
特に英語版ではスマイルとスマイリーの言い間違いを許さないところから、彼女は完璧主義者と捉えられる傾向が強いようです。
キムとヴァンスの万引きを目撃した時でさえそのセリフは忘れません。
仮説はどうあれスイートハートの人格はこの人物が影響を与えているものと思われます。
またパネルへの感想からサニーはキャンディスお姉さんにいい印象をもっていないようにみえます。これはヘッドスペースでオモリがスイートハートを「うざい人」と呼ぶことに通じると思います。
「スイートハートはオレの嫁」と豪語する人物がいます。
チャリーン一家の長男です。
スイートハートは彼にとって唯一会話が叶う相手と言っています。
彼にとっての理想の女性像を重ね合わせているようです。
彼の発言をまとめようとしましたがダメでした・・。
何言ってるかわかりません。唯一会話が叶うという彼のスイートハート像とはどんなものなのでしょうか。
少なくとも彼は尊大な態度を持ち、現実を見れないナルシストではあるようです。
また声質は違うもののペットロック対戦時に聞ける彼の笑い方は、
スイートハートの「オーホホホ」という笑い方と非常によく似ています。
双子とチャリーンの兄は別に倒さずともペットロックチャンピオンになれます。
なぜ彼らとの対戦は用意されているのでしょう?
そこでしかわからない要素に私は意味があると思います。
ツリーハウスにはスイートハートのような人形が置いてありました。またサニーの家にもスイートハートの人形がありました。
ツリーハウスの人形については、
オモリはクッション(英語版はpillow)であるといい、
サニーはぬいぐるみだといっています。
むむ、この違いはいったい何でしょうか。サニーとオモリは同じものを見ても反応が異なりますが、この人形に差異がある理由を想像できません。
ツリーハウスにこのスイートハートのような人形を持ってきたのは誰なのでしょう?
オーブリーのお気に入りのぬいぐるみはビスナさんですし、彼女の部屋にもスイートハートのグッズはありませんでした。
ヒロとケルの兄弟が女の子の顔のぬいぐるみを持ち、ウキウキとツリーハウスを登っていく光景はあまりにもシュールです。
ケルがそんなことをすればすかさずオーブリーにからかわれてしまうでしょう。
そしてそれが恥ずかしいと思う感覚はサニーにもあると思います。
もちろんオタクを隠さない堂々とした勇者なら別ですが、サニーはシャイな恥ずかしがりやです。
この場に自然にこの人形を持ってこれる人物、それはマリではないでしょうか?
それであればサニーの家にスイートハートの人形があった理由にも説明がつきやすいです。
キャンディスお姉さんは店長をしている大人です。
チャリーンの兄も7人兄妹の長男であり、サニーよりもずっと年上です。
逆にサニーと同世代の子供の部屋では、誰もスイートハートのグッズを置いていませんでした。
つまりスイートハートとは、サニーよりも上の年齢層で流行ったキャラクターではないでしょうか。
4年前の洋服ダンスには既に古いおもちゃが存在していました。どういうわけかおもちゃ関連はかなり幼い頃のものでも、2人の部屋に残っていました。
この頃のマリならスイートハート人形を持っていた可能性があるはずです。
彼女は意外にも漫画好きでもあります。15歳の少女であれば普通の事です。
マリには完璧主義的なところがありました。
アルバムの中でバジルがプロ並みの出来と評していた花冠を作っても、
マリは出来栄えに自信を持てなかった様子が書かれています。
そして自身の求める完璧さを求めてひたすら努力を重ねる人でもありました。
一緒に練習していたサニーにはこのような記憶があります。
マリの練習量は相当なものだったようです。マリの完璧主義とはこのようなものであり、完璧主義ゆえに自信を持てませんでした。
彼女の完璧主義は自罰的、つまり自分の中に向きます。
(この事がどう事件に繋がっていくか、別に記事にまとめたいと思います)
スイートハートはどうでしょう?
自身は既に完璧であると誇り、完璧を追求して努力をするというキャラクターではありません。不都合なことが起きても自身の責任を認めたりはしません。
明らかに他罰的な思考を持ちます。
人形の持ち主はどうあれ、スイートハートの由来はキャンディスお姉さんの方が近いと感じます。
スイートハートは自身の過去についてこのように語っていました。
純粋な姫が欲望のために城の主に土下座するはずがありません。彼女の言うとおり本当に純粋な存在だったのなら、彼女が変わったのは城に来る前です。
彼らが街の人々の心の中から生まれる存在なら、元の心の持ち主が居なくなると彼らも変わるのではないでしょうか。
スイートハート城は元は図書館があった場所です。しかし図書館が地中に沈んだのはかなり前の出来事のようです。
スイートハートがその場所の所有権を懇願したのは、マリの死によってこうした純粋さを失っていた為ではないでしょうか。
またスイートハートを知る子供が大人になってしまい、純粋さをもってスイートハートを想像する人がいなくなっていったのも関係すると思います。
そして全ての人に忘れられた時、彼女は消えるのではないでしょうか。バジルの祖母の容態が急変したのと同時期にド田舎おじさんが砂になったように。
夢の世界のマリについて
サニー由来であるはずの存在にして、しかし多くの謎をもつ人物です。
イセカイに繋がるハシゴを登るとき、ヒロはなぜ今までそのハシゴを登らなかったのかの記憶を失っていました。
直前に主人公が高所恐怖症を乗り越えた出来事を忘れていたのです。
しかしマリは違いました。クモ恐怖症を乗り越えるとき、しっかりとそれが初めてではないことを認識しています。
シンエン井戸でマリだけはバジルの事を覚えているような様子がありましたが、このセリフはそのことを裏付けると思います。
他の3人と違い、彼女は明らかにストレンジャーが見えています。
しかしストレンジャーの干渉が無くなったと思われるあと1日の世界であっても、
マリは自分の死を主人公に見せました(コンシューマ版にて)。
その後の会話の様子から、明らかにオモリにとって想定外の出来事だったはずです。
シンエン井戸で聞こえる声は何度入り口を隠しても、マリはブラックスペースへと導くと言っていました。
ストレンジャーの干渉が無くても、マリは自分の記憶と意思で主人公を真実へ向かわせようとしているように見えます。
そしてマリだけはブラックスペースで封じられたり、殺されていく魂がいません。
これはオモリであっても、マリには危害を加えることができないからではないかとは思います。
死んでいったバジル達のように、魂に汚れがあるからと処分できるでしょうか?
夢のマリを改変することは実はできなかったのではないかと思います。
そして現実世界で多くの人の心の中にもマリがいました。
夢の世界のマリに仮説をあてはめるなら、
サニー以外の心の中のマリが夢の世界のマリに反映されているはずです。
それであれば自身がなんらかの形で死亡したことを、それによってあの世界が生まれた事に気づいているのではないかと思います。
そしてオモリの意思だけでは改変されない、あるいは抗する力があったのかもしれません、
もし仮説が正しいのなら、白黒のマリはどこからきたのでしょう?
先ほどswitch版のあと1日の世界で、オモリにとってマリの死を見たのは想定外だった様子があると書きました。
サニールートではどうだったでしょう?
サニールートのマリも同じようにオモリの様子がおかしいことに気づきます。
この出来事もやはりオモリにとって想定外だった可能性が高いです。
・・・が!既に記事が長大になったので書くことはあと1つだけにします。
現実のアルバムと違い夢の世界のバジルのアルバムでは、マリの完璧主義を思わせる記述が削除されていました。
例えばケルが牛乳好きになっていたり、ケルが腕相撲で負けて悔しがってる写真が削除されていた理由はなんでしょう。
これについての共通点は兄に負けて悔しがっていたケルを勝たせてあげたい、
ではないかと以前に書きました(同じ考察を何度か見たことがあります)。
他にもいくつか理由はありますが、このことから
私はマリの記述が削除されていた理由は
「マリに自信を持ってほしい」ではないかと思います。
サニーが生み出そうとしていた夢の世界のマリは、
彼女が感じていた苦しみを取り除こうとしたものではないでしょうか。
夢の世界のマリはどんな存在か?を考える上でこの部分の解釈は重要じゃないかと思います。
ついでにヒーローザウルスの仮説
キムがサニーの家に訪ねてきた際、ケルは彼女の名前を口にしていませんでした。しかしヒロはキムの名前を憶えていました。
恐竜好きのキムとヒロが顔見知りなら、キムが想像したキャラクターとして仮説を当てはめられなくもないかもしれません。
しかしボクのことまだ受け入れてくれる?
というヒーローザウルスの言葉が当てはまりません。
マリーナの部屋にある4人の骨のうち、
ヒロのものだけが無いように見えましたが・・。
まさかひょっとして・・?
マリーナ最強の実験体はNo667でしたが、何故666ではないのでしょう。
666は他にいるという意味だとしたら・・?
過去に迎えた悲惨な結末の時、死ぬことなく改造され生き残ったヒロがいたとしたら・・?
「ボクのこと、まだ受け入れてくれる?」
この言葉があてはまるかもしれません。