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湖の物語① ヒロが救ったもの

この記事は、

ヒロが湖でサニーとバジルを救い出した場面に焦点を当てたものになります。

 

あと2日の日、オーブリーに突き落とされたバジルを救うためにサニーは湖へと飛び込みました。しかしサニーは独力で水面に上がることができず、たまたまその場に現れたヒロによって救い出されました。

この日のヒロはサニーとバジルの命を救ったヒーローとなりました。当然、直接の原因をつくってしまったオーブリーもヒロに救われた1人と言って良いと思います。

しかし視点を変えて見てみると、この日の出来事はそれだけのことに留まらないのではないかと思います。

ケルに起きたかもしれないこと

この日のケルはなぜ、バジルを救う役目をサニーに託したのでしょう?

そのヒントは4年前の兄弟の行動にあると思います。

ヒロは過去に自分達がしていた湖への飛び込みにサニーを誘ったと言っていました。そもそもケルにしてもヒロにしても、泳げない友達に溺れてる人を助けろとも、高いところから飛び込めとも言わないはずです。

夢の世界でサニーが泳げなかったのは「溺れるのが怖い」事が原因でした。つまりサニーは恐怖症になる以前は泳げたとものと推測できるのではないでしょうか。

ケルがサニーに助けるよう叫んだのは事故を忘れていたことによる影響か、あるいは恐怖症のことまでは知らなかったのではないかと思います。

サニーが湖に飛び込んだのは自らの意思でもあり、サニーの中に早くバジルを助けなければならないという思いがあったでしょう。

しかしもしこの事が最悪の結果に繋がっていれば、ケルは再び親友の死を目の当たりにしていたことになります。彼が親友の死に直面したときどうなるか、作中にそんなシーンがあったと思います。そしてその因果の中に自分の決断があったとすれば、誰しもが後悔を抱くものでは無いでしょうか。

たとえそれが客観的に見て、その人の責任とは言えないものであったとしてもです。

4年前に起きた湖の事故

いったん4年前の事故について振り返っておきたいと思います。。

湖はかつての6人にとってヒミツのたまり場でした。アルバムにもここでピクニックをした時の写真が残っており、6人は何度もここに訪れていた様子です。

バジルは泳げなく、オーブリーは濁っていたと言っていることから、主にこの湖で泳いで遊んでいたのはヒロとケルの兄弟達だったと思われます。

そしてある日、兄弟はサニーを飛び込みに誘いました。上記の推測からサニーは泳げはするものの、高い所が苦手だったのではないでしょうか。

しかしサニーはいくらかの迷いをみせたあと飛び込みを承諾しました。苦手だった高い場所に自ら登り、深呼吸と集中を行って高所恐怖症に立ち向かおうとしました。

ここまではサニーは兄弟の期待に答えていたと言えるのではないでしょうか。

しかし彼が意識を集中したとき、たまたま肩に乗っていた蜘蛛によってパニックとなり、湖に落ちて意識を失いました。

そしてこの日サニーを救い出したのがマリでした。

マリは真っ先に湖に飛び込みサニーを救い出し、目を開けたサニーにすがりついて泣いていたとあります。

そして6人が揃って湖に訪れたのはその日が最後となりました。マリが行きたがらなくなったためです。

マリは皆がたまり場を気に入っていることは知っていたはずです。それでも行けなくなってしまったのは、この事故がトラウマになったことによるものではないでしょうか。

ヒロの視点

この事故をヒロの視点でみた場合、どのようなものになるでしょう?

サニーを飛び込みに誘ったのはケルも一緒だったのかもしれませんが、ヒロはいつも年長者としての責任感を持っていました。

自分達の誘いに答え、自ら高い場所へと向かっていくサニー。その先に起きたことは予想しづらいことであり、事故としか言えないとは思います。

しかしそれをヒロ自身はどう感じるでしょう?

この日起きた事、それがその後に与えた影響は彼にとって辛いものだったのではないでしょうか。

親友であり、自分の恋人にとって大切な弟であるサニーが意識を失ったこと。

いち早くサニーを救助し、事態をおさめたのが自分ではなくマリだったこと。

サニーにすがりついて号泣するマリの姿。

マリの心に傷を残した事。

もういつものたまり場は使えなくなってしまったこと。

こんな事態を引き起こすつもりではなかったはずです。そしてこれらが彼にとって、大きな後悔となり続けていたとしてもおかしくはないと思います。

あと2日の日に起きた事は、ヒロにとって単に親友を救えたというだけに留まらず、4年前のあの日、何もできなかった自分を救う出来事でもあったのではないでしょうか。