今回の記事は、以前に紹介した仮説を利用した内容となっています。
あくまでも仮説、捉え方の1つとしてお楽しみいただければと思います。
↓以前の記事はこちら↓(読まなくても大丈夫だと思われます)
この記事では
・リサイカルトに関わるモールス信号
・リサイカルト本部にあるサカナ少年の絵
・その2つがリサイクルサイコの世界の存在を示すかもしれないこと
・バジルが生み出した世界があるかもしれないこと
について書いています。
リサイカルトの世界
謎のサカナ少年の絵
上記の記事にてリサイカルト本部にあるサカナ少年の絵は、画家の家にある描きかけの絵と同じものであるという部分に触れました。
リサイカルト本部の出現条件は「変な男」ビリーの失踪のみです。
それはつまり画家に一切会わず、サニーにこの絵を視認させていなくてもこの世界と絵が存在していることになります。
この世界でサカナ少年がポピュラーなものだったとしても、画家の部屋のものと同じくイーゼルの上にある状態のこの絵を、この場に置く発想がサニーにあるでしょうか。
わざわざ目立つ場所にあることにも意味があるのかもしれません。
謎のモールス信号
現実世界でビリーの部屋のTVを調べると、怪しいモールス信号が聞こえてきます。
そして一切外に出ることなくオモリルートに進んだ場合でも、ブラックスペースに同じモールス信号を受信するラジオがありました。
(動画はkanpeen氏より提供を頂きました)
この信号の解読については過去にまいずみ氏が行っているので、引用させて頂きます。
IT'STIMERECYYCLELET'SALLRECYCLEIT'SGOODTORECYCLERECYCLINGISGOODFORTHEENVIRONMENTRECYLCINGISACONCEPTWITHOUTRECYCLING,YOUARENOTHING
出典元サイト
信号の文章を機械翻訳すると、
今こそリサイクルしよう みんなでリサイクルしよう リサイクルは良いことだ リサイクルは環境に良いことだ リサイクルは良いことだ リサイクルは良いことだ リサイクルをしなければ何もできない
となります。
この信号は明らかにリサイカルト達に関わるものです。
リサイカルトが発信している信号か、あるいは彼らを洗脳する何者かが存在しているのか、これだけでは判断が難しいところです。
最近になって町にあらわれたというリサイカルト信者たち。
彼らに一切出会っていないルートで、何故彼らを思わせるモールス信号が夢の世界にあるのでしょう。そしてグッドエンディング時のビリーの母親の手紙には、実際に彼が行方不明となっている事が書かれていました。
リサイクルサイコは「夢の中」でゴム手袋が語り掛けてきたと言っていました。これはブラックスペースにリサイカルトの信号を受信するラジオが存在したことと、そして彼の部屋のTVから同じ信号が流れてくることに、関連してはいないでしょうか。
ホーリーゴミ箱の存在については色んな解釈がありうると思いますが、この記事では以前に紹介したヘッドスペースの仮説を当てはめてみたいと思います。
ホーリーゴミ箱という概念はどこからきたのか
仮説をあてはめると、つまりヘッドスペースの住人達がハルバル町にいる人々の心の中のいる存在、架空の友人、想像上の生き物、恐怖、存在を信じるあらゆるものであるとするならば、ホーリーゴミ箱もまた人々の心の中から生まれたことになります。
最近町にあらわれたリサイカルト達、ホーリーゴミ箱の存在を信じる者たちといえば彼らです。彼らが町に現れたことが夢の世界に影響を与えるなら、一切外に出なかったサニーの夢の中にその影響が現れた理由となりうるはずです。
ド田舎おじさん
そしてド田舎おじさんの言葉をリサイカルト本部に当てはめてみるのはどうでしょうか。
ド田舎おじさんはヘッドスペースを人によって見え方の変わる世界、想像力によって大きさや色彩が変わる世界だと言っていました。リサイカルト本部はサニーのヘッドスペースと比べるとそれほど大きくはありません。似たような場所、イセカイの廃品投棄場と比べても単調で小さくみえます。
ならばここはビリーが創造したヘッドスペースとするのはどうでしょうか。
もちろん他の人の夢世界に入ることができるのか、入れる描写があったのか?という疑問はあると思います。しかし本編にそうとも捉えることのできる描写は存在していたと思います。その部分については記事の後半で触れていきます。
イーゼルの意味
そしてこの場所がビリーの作った世界なのであれば、この絵が存在する理由を説明できると思います。
この絵がある場所をよく見てみてください。
高く、光がさし込み。そして誰にも触れられない場所。
またこの絵から連想するものがあるとすれば、それはたった1つではないでしょうか。
ビリーの隣の家に住む画家本人です。
隣に住むビリーであれば、このイーゼルを見たことがあっても不思議ではないはずです。
つまりこの絵とその場所が示すのは、ビリーの隣の家の画家に対する片思いなのではないでしょうか。
ビリーの片思いが成就しなかったのであれば、それは彼にとってゴミといってもいい記憶になると思います。しかしビリーにとって、大切な気持ちを含む思い出でもあると思います。だからこそゴミだらけでありながらも、あのような場所にあるのではないでしょうか。他人に触れられたくない、彼の大切なゴミです。
海外には自分の大切な物に対して
don't touch my garbage!!!!(意訳:私の大切なゴミに触るな!!!)
というミームがあるそうです。
つまり、このミームのような表現なのではないでしょうか。
バジルの世界?
サニー以外の心の世界にたどり着くという、この説を突飛なものと感じる方も多いと思います。
しかしサニーが訪れたのはサニーとビリーが作りだした世界だけではなく、バジルから生まれた世界もあったのではないでしょうか。
以下にバジルの世界が存在していたかもしれないという根拠をあげていきます。
ストレンジャーの存在
何故サニーが知らないはずの情報を持った存在が、夢の世界に現れるのか?
ストレンジャーの謎について以前の記事で、彼はバジルから生まれた存在であるという説を書きました。バジルが心の奥に隠している秘密を持った、もう1つの心です。
そしてバジルの精神がヘッドスペースに現れることができるのなら、その逆、サニーがバジルの精神世界に行くこともできるはずです。
バジルの視点の記憶
バジルの平原を抜けた先の世界に落ちていた写真は、全てバジルの視点から見た記憶が写っているものでした。当然バジルが写真を撮っていたはずもありません。この世界にある写真にはバジルの手も写っており、その状態で写真を撮れるはずもありません。
これらの写真はバジルの記憶から生まれたものである可能性が最も高いと思います。
ブラックスペース前のステージ
サニーは3度、夢の世界でステージらしき場所に訪れています。
1度目はストレンジャーの影が消えていった黒い大穴に落ちた時。この時のステージの上には、マリの遺体が納められた棺が置かれていました。
奥ではバジルやストレンジャーを覆うサムシングの形をした影があり、行く手を遮っていました。
そして何よりブラックスペースの入口は大穴ではなく、正確にはここにある扉ではなかったでしょうか。
2度目はバジル視点の写真が落ちている世界です。この時は譜面台をバジルのサムシングが覆い、1度目と同じように行く手を阻んでいます。
そして3度目はオモリと戦う直前。演奏時はバックステージから視点が切り替わり、1度目に訪れた時の形に近くなっています。
電球の無い部屋
サニーは電球の無い部屋にも2度訪れています。
2度目はこの部屋に持ち込んだ電球を取り付け、真実が写された写真を手にしました。
そして1度目の時はどうやって訪れていたでしょうか?
ブラックスペースの教会にストレンジャーが現れた時、彼はサムシングに囚われた夢の世界のバジルへと向かい、そこへ消えていきました。
その後夢の世界のバジルは、そのままサムシングの中へと飲み込まれていきます。
つまり1度目は、ストレンジャーから何らかの干渉を受けたバジルを追うことによってたどり着いています。バジルそのものが入口だったと言ってよいのではないでしょうか。
そしてストレンジャーはこの時点で、真実の写真をサニーに見せようとしていたのではないでしょうか。
病院の部屋
写真が落ちていた世界には他とは少し雰囲気の違う、病院のような場所がありました。
この場所にはベッドで横たわり、呼吸をしている人達がたくさんいます。
床の模様は現実の病院と同じ物になっているようです。
サニーは事故後にベッドの上にマリを寝かせていましたが、その時に見ていたのは既に息をしていない姿だったと思います。病院で点滴を打ち、息をしているマリの姿はみていないはずです。
そしてもう1つ、ここにはヘッドスペースの冒険を映し出したモニターが並んでいます。
この世界をバジルの世界とするなら、これらにも理由付けができると思います。
ストレンジャーはずっとオモリ達の冒険を眺めていました。彼の影はヘッドスペースのゆく先々にあり、常に真実の道へと導いていました。
そして最近、病院で息を引き取る身近な人の姿を見たのもバジルです。
彼のお婆さんはあと2日の夜に容態が急変しており、あと1日の日にサニーは交差点でお婆さんの霊らしき影を見ています。病院のベッドで息を引き取ったお婆さんの姿が、ベッドの上で呼吸をしていないマリの姿を思い起こさせても不思議ではないはずです。
あるいは最近になって容態が悪化し、ずっとベッドの上で静かに呼吸をしているだけだったお婆さん。ベッドの人々が減っていくのはその日々の経過を表しており、呼吸をしていない人はその終わりを表している。ヘッドスペースを映すモニターはその日常の中で、バジルが真実から逃げ続けるサニーを待ち続けていたことを表す、という考え方もあるかもしれません。
そして現実の病院とそっくりな心象風景であることも、病院から戻ったばかりのバジルなら可能だったはずです。
耳鳴り
このゲームではキィィィィン!という耳鳴り音がする場面が多くあります。
・夢の世界のバジルの家でバジルが写真を拾い、何かを思い出し始めたとき
・階段や蜘蛛のサムシングが現れた長い階段のある世界に入ったとき
・蜘蛛のサムシングが現れる直前、白黒のマリと出会った時
・ヘッドスペースにストレンジャーが現れている時(イセカイの納屋があるエリア、ブラックスペースの大穴)
・寝る前にうっすらと白いマリが見えるとき
・スイートハート城の城の主の場所から天国や地獄に行くとき
・プレイ中、初めてピアノ室に入るとき
・サニールートでサニーの姿でホワイトスペースに入ったとき
・オモリルートでサニーの姿でブラックスペースに入ったとき
・真実を思いだしたあと、自分の家のベッドで眠るとき
・引っ越しの日に外にでたとき
・バジルの死後、バジルの部屋の扉が消えるとき
オモリルートの終盤の現実世界になるともっと頻繁に耳鳴りがしています。
図書館の記憶によるとサニーは極度に緊張したときに耳鳴りがしていたようです。
しかし上記の状況の中には、緊張だけで説明するのが難しいものもあります。
耳鳴りは緊張だけではなく、精神への何らかの干渉によるものとは考えられないでしょうか。
写真を拾ったバジルが何かを思い出しかけた時、それによって耳鳴りがするのはなぜでしょう。またイセカイでストレンジャーの影を追ってたどり着く場所は、あきらかに普段の様子と違う場所になっています。緊張する場面としては変ですし、オモリがそう簡単に緊張するものでしょうか。それであるならブラックスペースは耳鳴りだらけだったはずです。夢の世界のバジルが真実を思いだし始めたことも、ヘッドスペースの風景が変わってしまうことも、ストレンジャーの干渉によるものだった可能性があると思います。
うっすらと白いマリが現れている時は、普段よりもずっと小さな耳鳴り音が聴こえています。目の前のマリの影に気づいているのなら、そんな小さな緊張ではすまないように思えます。寝付けるとも思えません。そして白黒のマリは夢の世界に何度も現れていました。
オモリルートでサニーの姿でブラックスペースに入ったのは、むしろ引きずりだされたような印象があります。これらがストレンジャーの干渉によるものなのであれば、バジルの家でサニーの姿のままホワイトスペースに入れたことにも説明ができるはずです。
そして長い階段のある場所はバジル視点の写真が落ちている世界にもありました。
クローゼットの扉が見えるところまでそっくり同じです。
サニーが蜘蛛のサムシングと対峙したあと、階段を降りるとストレンジャーの影があります。それも階段を下りたサニーからは見えない、テラス部分にです。
サムシングはバジル由来であるという説をとるなら、そして写真が落ちていた世界がバジルの世界だとすれば、あの長い階段に行くことそのものがバジルの影響によるものだった可能性があります。
その他
インタビューで影響を受けた作品として紹介されたものの多くに、他人の心と精神世界、あるいは別世界で触れ合う、繋がりあうといった描写がありました。
OMORIにそれぞれの心象風景を写した心の世界、別世界があり、繋がることができる描写があったとしても、それほど独特なものではないのかもしれません。