OMORI 考察、解説などメモ置き場

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オーブリーの部屋の「バケツ」

この記事では主に

  • オーブリーの部屋のバケツ
  • ついでにブラックスペースにあるラブレター

について個人的な解釈を書いています。

今回の記事は以前に公開した『夢の世界のオーブリーは幻想?』を前提にしています。

オーブリーの部屋のバケツ

推定的な表現

サニーは暖炉を観察したときに使用頻度を推測していました。

それについて「~ようだ」という表現をしています。

他にも「~ようだ」「たぶん」「~らしい」等の推定的な表現が多く使われています。サニーは推測や伝聞など確定的ではないものを含む場合、断定した表現をしていないように見えます。

オーブリーのバケツ

そうすると、このバケツが異質であるとわかりやすくなるのではないでしょうか。このメッセージには推測や疑問の表現が一切入っていません。

以前の記事でサニーにはオーブリーの部屋の記憶があると書きましたが、この表現を見る限り、実際にバケツを使う様子も見ているのだと思います。

サニーがオーブリーの家に来る時というのは、雨の日だったのではないでしょうか。雨でブランコが使えない時に彼らが選んだ行き先が、あるいはオーブリーに連れられてきた場所がこの部屋だったのではないでしょうか。

良い思い出??

上記のサイトにOMOCAT氏の日本語版インタビューが載っています。

気になるのは影響を受けた作品の中に「おやすみプンプン」があることです。

おやすみプンプンといえば・・。

つまり好きな女の子の家に初めて行く思い出、それは必ずしも良い思い出とは限らないのかもしれません。

こうした解釈ができるのではないでしょうか。

ヒロがサニーの家には大きなTVに新しいおもちゃ、ピアノにツリーハウスと何でもあったという話をしていました。サニーの回想によると両親はどうやら旅行好きで、ピアノ室にはお土産のコレクションが置いてありました。他にも生け花や盆栽などの趣味が見受けられ、かなり豊な暮らしだったようです。

そして何よりもサニーにはマリが居ました。バスで寝てしまったときは背負って連れ帰ってくれる、怖い夢を見た時は一緒に寝てくれる。いつも自分を守ってくれるマリが居ました。

果たしてサニーが初めてオーブリーの家に入った時、何を感じたでしょう?

好きな女の子の家に初めて招待された思い出、それは普通であれば幸せなものになると思います。しかしサニーにとっては衝撃的なものだったのではないでしょうか。父親がいなくなる以前から友達を家に呼ばなかった理由、それがきっとそこにはあったはずです。

サニーが見たのはゴミが散乱する光景か、両親の不和か。どのようなものだったかは想像するしかないかもしれませんが、彼が生きてきた世界とは違うものを見たと思います。少なくとも、雨漏りをする穴だらけのオーブリーの部屋は見ていたでしょう。

MEMORY LANEにあったのはアルバムに対応した想い出だったため、家の中の光景が無かったのは当然です。代わりにアルバムに準拠しないラストデュエットの回想には、しっかりとオーブリーとの思い出が含まれていました。それが家の中ではなくブランコの光景だったのは、その記憶には思うところがあった為だと思います。

ラブレター

以前の記事でブラックスペースにオーブリーのラブレターが隠されていたのは、ヘッドスペースに存在しない「学校」という要素が原因ではないかと書きました。しかしまだ他の側面もあると思います。

omori オーブリー

夢の世界のオーブリーはオモリが自分を守ってくれると信じていました。バックステージのオーブリーもサニーは何時間でも話を聞いてくれて、心強かったと語っています。

しかし現実のサニーは引きこもり、4年間オーブリーの側には居ませんでした。サニー自身そのことをよくわかっていたのではないでしょうか。自分に向けられた信頼をひどく裏切ったことを。

オモリのセリフにある、

「彼女はあなたを愛していた。なのにあなたは彼女を殺した。」

という言葉と同じではないでしょうか。サニーはオーブリーに対しても罪悪感があったのだと思います。そのためその記憶を、あるいはラブレターがそれを象徴するものとして、ブラックスペースに封じられていたのではないでしょうか。

実際に現実のオーブリーにはこのようなセリフがありました。

その後オーブリーは、サニーに再会したときに取り乱したという話をしていました。彼女にしてみれば、信頼していたのに苦しい時にいなくなってしまった相手です。オーブリーはサニーに再会するやいなや辛辣な言葉を投げかけました。しかしオーブリーは和解前からサニーの体調を心配していた様子があり、既に引っ越しのことも知っていました。愛情があるからこそ憎しみが生まれる。結局のところ会いたいという気持ちが無かったのなら、彼女が怒ったり取り乱したりする理由がないはずです。

それが「アンタのこと、別にどうでもよくなったわけじゃないから」という言葉に繋がっているのではないかと思います。