今回は考察そのものについての考察が含まれます。
そしていつもそうですが重大なネタバレが含まれます。一度エンディングを見たとしても、まだなお重大なネタバレになる可能性があるため、注意をお願いします。
オレンジアオシスの地下ダンジョン
オレンジオアシスにある
地下通路を覚えているでしょうか?
砂漠に住む、6人の兄弟が作った地下ダンジョンです。ここではなくとも、ヘッドスペースには様々な冒険の舞台が用意されています。ヒロビロ森、廃品投棄場、ヒバナ森、スイートハート城、最後の楽園、水中高速道路、ハンフリーの体内。これらの場所は必ず向かわねばならない理由があり、必ず通る場所です。
またはパンクチュアリのように、行く理由はなくともイベントが用意された場所があります。
しかしこの場所はなんでしょう?行く理由もなければ、これといったイベントやクエストがあるわけでもありません。
矢印の通りに進んで行けば簡単に終わるダンジョンです。なぜこの場所は用意されているのでしょうか?どういった意味があるのでしょうか?
「人の話を聞けばよかった。」
矢印に従わなかった場合、このようなメッセージが書かれています。
似たような言葉をマリからも聞くことができます。
ゆっくり歩こうと言われたのに走り続けると、なんとマリからカミナリが落とされます。
ちゃんと人の話聞いてる!?と。そしてこの文言、多くの夢見人にとって身に覚えがあるのではないでしょうか・・・?
触るなと言われたのに、触りませんでしたか?
このパンも同じです。つっつきましたね・・?
中力粉がたくさん積んであったおかげで助かりましたが、
触るなとあるのに触ったせいで、危うく転落死するところです。
ふーむ、転落死か・・。
モグラにも怒られてしまいます。
やめておけと言われましたが・・・。
やりました。
チップ親父は主人公たちを危険から遠ざけるために忠告していたのです。
開けてはいけません。
言う事を聞かないと岩に押しつぶされるか、
逃げきれても今度こそ転落死してしまいます。
彼の父親をイケニエに使ったので、帰ってくることもなくなります。
話を聞かずに突き進んだところで、苦労したのに結局折返して元の道に戻るだけです。より良い結果に繋がったとは言い切れない部分も残りました。
まるでこの地下通路そのものです。
これもその一部なのかは謎ですが、ケルが家に訪問してくる前から、船長はすべきことを言っている気もします。素直に聞くならば、ケルとでかけること一択です。
ゴミ置き場から大事な思い出の品を取り戻す話も、
いま思うとちょっと不気味かもしれません。
マリの話をきちんと聞いて花に水あげておくと、
笑顔が苦手だというサニーの眩しい笑顔と、バジルの笑顔を見ることができます。
実際マリはストレンジャーの存在を認知していたようです。(正体も知っていたのでしょうか?)
人の話を素直に聞くこと。
ひょっとしてこのダンジョンはこのゲームにとって重要なことを伝えてはいないでしょうか?
ヘッドスペースの住人は嘘をつかないわけではありません。ハルバル町の人々もみんなが正直な人という保証はありません。
ヘッドスペースでは、アセリコインを売りつけてお金を騙し取る苗モグラ、スライムガールズを騙したスイートハート、水中高速道路のボッタくり通行料金など、不誠実なものも存在しています。しかし彼らにはわかりやすく、嘘をつく理由があります。
スイートハートも高速道路の料金を払わず、裏道を通る姿が確認できます。ボッタくり料金のせいで途中でアサリが尽きたのでしょうか。私はヘッドスペースの住人達の言葉は、彼らに嘘をつく理由がないのであれば素直に聞いてみることにしています。
彼らのように真実に触れるような存在は、ひきこもりルートでは処分されてしまいます。
あしながおじさんは迷いの森を攻略していなくても、ブラックスペース送りに。さりげなくここにも忠告が存在しています。
そして枝サンゴは犠牲を受け入れなかったとしても、「生きてはいない」状態になってしまいます。
こうしたことからも、私は彼らの言葉はまず素直に受け止めて、バラバラに存在する情報を1つにまとめるようにしています。
ミスリードの存在
が・・・、しかし!このダンジョンにはこんな場所が!長い矢印に素直にしたがっていたにもかかわらず、結局折り返す羽目になってしまいました。
実際、このゲームにはミスリードが多いと思わないでしょうか?
この兄弟の会話を聞けば、誰だって主人公がオーブリーの家に初めて入ると思います。
おいおい、サニー君・・・と感じる方が多いと思います。
と思ったら、
まるで当たり前のようにオーブリーのベッドを夢世界に再現していました。
初見では全然気づきませんでした。
ベッドを調べた感想にも傾向があり、ある程度の意味を推測することも可能なようです。汚れていたのは私の心だけでした・・。
画像は英語版です。オーブリーのぬいぐるみの名前が現実でも「ビスナさん」であり、
ヘッドスペースと同じくビスナさんを大切にしていたのがわかるシーンです。
サニーがビスナさんを調べた時の様子です。
出来事が前後しているうえに、引用符の使い方が特徴的すぎます。これはベッドが示す意味の補完になると思います。
ようするにサニーは、オーブリーの家に入ったことがあると匂わせているわけです。
その他にもこんな目立つやりとりのあとに、
サニーをチラっと見る仕草なんて気づきません。これを見つけた人の観察眼に驚きです。このゲームにはサニーの行動や人間関係など、簡単に読み取るには難しい要素が多々あります。
まさしくこのダンジョンではないでしょうか・・。
えらく遠回りさせられたあげく、ミスリードを経て結局はとても素直な話の本筋に戻ってきてしまいました。
つまり子供の作ったダンジョンはこのゲームそのものを表してるのでは!?
そういうわけでミスリードに気を付けつつ、起きる出来事や人の話を素直に受け止めた考察をするスタンスをとっています。
OMOCAT interview from Cydonia streaming translated in english : OMORI
またOMOCAT氏へのインタビューも参考にしています。影響を受けた作品、ホワイトスペースについて、バジルの話。そしてゲームが開発者達の体験談に基づいており、専門家のアドバイスを受けていないことなど、参考になるかと思います。
確かめることは難しいかもしれませんが、このセリフも忠告なのでしょうか?なにか意味があるのか、全くないのかは確認できていません。
公式絵について
個人的な見解ですが、
公式で発表される絵は基本的にゲーム内の情報を補完することはあっても、謎の答えを教えてくれることはないと思っています。実装されていないコンセプトアート等も含まれていますしね。むしろゲーム内で隠された謎は、ゲーム外イラストでも読み取れない用につくられています。
happy birthday, aubrey! pic.twitter.com/yd7edfuqSY
— OMORI (@OMORI_GAME) 2021年5月23日
この絵からはゲーム内では語られていない、事件後のオーブリーの様子がわかります。
ゲームではわからない情報を補完してくれます。
birthdays 🎂 pic.twitter.com/zaV7OocfAV
— OMORI (@OMORI_GAME) 2021年2月19日
バジルのアルバムに載っていない誕生日などがわかります。
a yearlong labor of love, the OMORI calendar project is here! pic.twitter.com/nX55MiHQEE
— OMORI (@OMORI_GAME) 2022年8月6日
大人気のカレンダープロジェクト、すごく楽しみでした。このイラストからゲーム内の謎を解くのはまずできないと思います。ある程度、何かしらの情報を補完することはあるかもしれませんが。
そもそもあれほど隠されているサニーとオーブリーの関係性なども、急に公式発表がくるとは考えにくいというのが多くの人の見解だと思います。
ゲーム自体、またDLコンシューマー版はでたばかり、パッケージ版もようやく予約がはじまったばかりです。
the OMORI collection is available now! (https://t.co/McNXopck5R) pic.twitter.com/tlVqQ10IWF
— OMOCAT (@_omocat) 2021年3月27日
この絵を見て関係性を解き明かせるでしょうか?
私にはケルはちゃんとオーブリーから体を離し、サニーの肩に肘を置いているように見えます。
・・が所詮は絵です、根拠には使えません。
ゲーム内の謎を解いた自信が無ければ読み取ることは不可能だと思います。むしろゲーム外イラストでは読み解けないようになっています。ゲーム内です。ゲーム内で謎を解きましょう。
考察について
多くのOMORIの楽しみ方があると思いますが、考察はどうしても冷淡なところがあります。どんな残忍なスタンスを取ろうと、温情ある考え方をしようと、考察はたいてい答えが0に見えれば0と、100に見えれば100とただ冷淡に答えを示します。どんな立場をとろうとその冷淡さから逃れることはできません。
考察に触れることによって、自分の意見やゲーム観を打ち壊す事もあるわけです。
私自身は別にそこまでストイックに努めてるわけでも、中立を心掛けているわけでもありませんが、それでも他人と共有しづらい楽しみ方だと感じています。私の考察が人の耳に優しいかというと、そんなこともありませんし。
しかしたどり着く結果はどうあれ、真実を問いかける事にこそ意味と価値があるものです。悩み考えるその過程も大事にしていきたいです。