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マリとスズラン 輝かしい未来を見せる力

 この記事ではマリを表すスズランの意味について、解釈の1つを書いていきたいと思います。

この記事の前提として、

  • ヘッドスペースは夢見人が客人として現れる前から、世界そのものは存在していたこと
  • ド田舎おじさん以外にも、サニーに由来しない多くの住人がいるかもしれないこと

という私の考え方があります。(記事の下に関連記事を貼ってあります)

墓場の魂たち

 教会の牧師と墓場の老人が、墓場の魂たちの異変について語る場面です。老人は近く誰かが墓場の一員になるだろうと話していました。画像の台詞を考えると、異変が起き始めたのはこの日からではないようです。

最終日になると、今夜どこかで泣き声が響くことになると話していました。

墓場の魂たちが牧師に胸騒ぎを感じさせ、ずっと泣きわめくほどの悲劇、夜に響き渡る泣き声。これらに当てはまるのは、やはりバジルの自殺ではないかと思います。彼の死を予言しているのではないでしょうか。実際サニーが何も行動をしなかった場合、バジルは確実に死ぬことになります。

 バジルのお婆さんも作中で亡くなっていますが、お婆さんの容態が急変したのはあと2日の夜です。また最終日の夕方に見えるお婆さんの姿から、この画像の時点で既に亡くなっていたものと思われます。

 墓場の魂たちの様子、そして後述するシンエン井戸の住人達の言葉から、バジルの自殺こそが本来の運命、訪れるはずの未来なのではないでしょうか。

またこれらのことから、死者の魂は未来を予見することができるものと考えられます。

シンエン井戸の不思議な生き物たち

 シンエン井戸には多くの不思議な住人がいます。彼らの言葉は多くの暗示を含んでいるであろう難解なものです。そして明らかに、真実に触れていると思われる内容が多分に含まれています。実際オモリルートでの彼らは、ブラックスペースに封じられ息絶えていました。真実に触れた多くの存在がそうであったように。

 彼らは夢見人に何をしろ、どうしろとは言いません。ただ彼らの言葉の中にはおそらく、いずれ真実はあきらかになる事、そして逃げ続けるべきではないという意味が込められているように思えます。

これはマリの言葉に通じるものがあります。

彼らは夢見人にしか決められないことがあると話しています。そして真実を知ったとき、どうしたいのかと。

 この住人は夢見人が大きな罪を背負っていることを知っていました。そして夢見人には「未来を変える力」があると話しています。これは実際に体験しているはずです。真実にたどり着いたサニーの選択によって、未来は大きく変わるのですから。

つまり彼らが伝えようとしているのは、真実にたどり着いた時、夢見人が決めなくてはならないことがあること。そしてそれによって未来を変える役目があることではないでしょうか。

そう考えると公園の看板にある言葉すらも、その暗示の1つのように見えてきます。

そしてシンエン井戸の住人や死者の魂に未来がわかるのなら、当然マリにもわかっていたはずです。

帰り道にいるバジル

 不思議なことにバジルにも未来の扉が開くというセリフがあります。彼はサニーにアルバムを渡した話をしていたので、この帰り道の世界に一緒に迷い込んだ、現実のバジル本人の魂だと捉えていました。

しかしこのセリフを考えると、バジルの平原にいたもう1人のバジルである可能性もあるかもしれません。

 サニーが無になったと同時に引き裂かれ、封じられたと言っていたストレンジャーの魂です。夢見人と同じくヘッドスペースを旅していた彼なら、シンエン井戸の住人達の話を知っていたはずです。

もしや彼らは同じことを言っているのかもしれません。夢見人には大いなる力と責任があることを。その力によって何を守るべきかを。

ケルの不思議なセリフ

 以前の記事でも触れましたがケルとサニーは4年前も今も。とても仲のいいコンビでした。

ケルはサニーがなんとかできるギリギリのタイミング、あと3日の朝に訪ねてきます。

 しかしこの時のケルはなかなか失礼な反応をします。ケルがサニーを大切に思っていたことは、彼の行動やセリフから十分伝わってきます。しかしだとすると、このセリフにはどんな意味があるのでしょう?

 ケルは最終日のバジルの家で、不思議なことを言いました。マリがいつも俺たちを支えてくれている、と。

マリはあと2日の夜、サニーの夢の世界に姿を現しました。しかしサニーに対してそれができるのなら、もしやケルに対しても可能なのではないでしょうか?

サニーの夢の世界にマリが現れたように、ケルの夢にもマリが現れていたのなら?

あの日訪ねてくる事が偶然ではなかったのなら?

夢の中で聞いたマリの言葉どおりに、サニーの家を訪ねたのだとしたら?

ケルは言うはずです。

「うわっ!本当にでてきた!!」と。

それ故にケルは、マリが自分達を支えてくれていると感じたのではないでしょうか。

 その言葉に対しヒロは何も言いませんでした。しかしマリの存在を感じていたのはケルとサニーだけではなかったはずです。

ヒロはあと2日の夜、マリがいたピアノ室にピアノの音が聴こえたと飛び込んできました。

それは偶然だったのでしょうか?

サニーはピアノの音を聴いて、それまで1人では決して入らなかったピアノ室に入っていきました。そこでマリと出会っている時、同じタイミングでヒロもピアノの幻聴を聴いたというの、はできすぎていると思います。

そしてケルが偶然あと3日というタイミングで訪ねてきて、自分であんな驚き方をするものでしょうか?

サニーが恐怖症と対峙するたびにマリの幻影が現れ、偶然サムシングと対峙する為に必要な力を与えてくれるものでしょうか?

そこに何かの意思の介入があった、と考えるほうが自然である気がします。

輝かしい未来を見せる力

マリを表す花はスズラン。厄を除け、人々に輝かしい未来を見せる力です。

スズランの花言葉は暗示していたのではないでしょうか。マリがより良い未来を導く存在であることを。

大好きだった弟が、自分の罪と向き合うよう導いていたことを。唯一未来を変えることができるサニーが、前に進めるよう手助けしていたことを。

切株と花束が示す、未来へと歩ませるために。

 

 

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