OMORI 考察、解説などメモ置き場

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人を鏡として見えるサニーという人物像②

1つ目の記事はこちら

 

まずはケルを見てみましょう

昔からサニーのほうがゲームが上手だったようです。

ケルの家でゲームをするイベントをすると、

ヒロとオーブリーがサニーのプレイをみて興奮してる様子がみれます。

記憶力を考えると、覚えゲーなども上手そうですね。

2人の仲の良さがよくわかるエピソードです。

実際ケルは4年間会っていなかったサニーに何度も会いに来てくれて、

最後の3日間をずっと一緒に過ごしてくれた友人です。

彼がサニーをどれほど大切にしているかは

このエピソードに集約されてるのではないでしょうか。

引っ越していく現代だけが特別であったわけではなさそうです。

一方、彼にはこんな一面も。

他にサニーの湖のエピソードも忘れていましたが、

ケルには都合の悪い事を忘れる癖があるようです。

サニーとは正反対の特質を持っているのではないでしょうか。

普通はケルほどの忘れる力はないものだと思いますが、

サニーほど色々なものを覚えている事もできないはずです。

逆にサニーの忘れずに覚えている能力は辛い物でもあると思います。

忘れる力の重要性もまた、対比によってわかりやすくなると思います。

記憶をやわらげる事それ自体は人に必要なものです。

あまりにも忘れすぎるのは困りものですが、全てを覚えているのも極端です。

さすがヒロは良いことを言います。

 

ケルとオーブリーからも大絶賛です。
私の心の中にもオモリが居てくれれば、

辛い記憶をすべてブラックスペースに放り込んでくれるのでしょうか・・。

しかし彼を持ってしても忘れられない記憶というものがあるようです。

アルバムにも兄に腕相撲で負けたことを根に持っている様子がありましたが、

特に兄弟間に関する事はよく覚えているようです。

そうした記憶や誰にも話せなかった秘密を、彼は自然にサニーに話しています。

これができるという事は、

彼のサニーに対する信頼感はとても大きいという事でしょう。

また彼は湖に沈んでいくバジルを見て、

迷うことなくバジルの救助をサニーに託しました。

この2人の信頼関係、コンビネーションはなかなかのものです。

初日から2人をみていたミンシーも同じ感想を持ったようです。

サニーもまた、ケルを理解した上で信頼している様子。

バジルは彼をサボテンに例えていましたが、ピッタリだと思います。

 

ヒロ

ヒロもまた4年ぶりであるサニーに会いに来てくれました。

不利な立場になってもサニーと一緒に過ごす事を選び、

彼が引っ越す前にオーブリーとの和解を進めてくれました。

他にもあの短時間に家事を全て片付け、朝食の用意まで・・・。

さすが・・・・・・

4年前にはサニーと一緒に本を読む姿が写っています。

ケルのセリフから漫画ではなさそうです。

記憶力のいいサニーと本の話をするのは楽しいのかもしれません。

サニーに自分の将来の夢について語り掛けています。

サニーはとても聞き上手であるという描写は時折ありますが、

3歳年上のあのヒロにとってもそうだったようです。

幼馴染ならではなのかもしれませんが、不思議な関係ですね。

ケルが語った秘密もそうですが、

彼らはおそらくサニーに何か問題を解決してほしいと願っているわけでは

ないのだと思います。

ヒロの将来についてももちろん、過去に起きた兄弟のトラウマなど

サニーに解決できることではありません。

ですが話を誰かに聞いてもらうことで心が軽くなるものです。

サニーは心強くそれを聞いて、秘密をもらした様子がありません。

また記憶力のいい彼は相手の話を覚えていてくれるのでしょう。

ヘッドスペースに生み出した彼らそっくりな魂を見ると、

相手を理解する力も並外れて持っている気がします。

皆にとってのサニーとは、

安心して自身の悩みを話せる人だったのではないでしょうか。

長年の付き合いを経てなお、サニーのヒロに対する信頼は絶大なようです。

バジルはヒロをバラ全般に似ていると言っていました。

バラと同じくらい万能で、皆に愛されていると。

オーブリーもヒロの事を信頼している様子がみられますし、

ケルにとっても自慢の兄でした。そしてマリの恋人。

まさにバジルの例えはピッタリだと思います。

 

オーブリー

オーブリーについては既に2つの記事を書いています。

夢の世界のオーブリーは幻想? - OMORI 過去の考察などメモ置き場

オーブリースクールとは何か・・? - OMORI 過去の考察などメモ置き場

短くまとめると、

彼女もまたサニーに誰にも話していない自身の秘密を明かした形跡があります。

またミドルスクール以降は交際関係にあったのではないかと推測しています。

4年を経てなお、サニーを意識する様子は本来の関係性の深さをうかがわせます。

バジルの花の例えと似ていますね。

グラジオラス、いつも自分に正直で真っ直ぐな様子になぞらえていたようです。

まさしくオーブリーだと思います。

 

バジル

バジルを通してサニーを見ようにも、

そもそもバジル自体があまりよく見えません・・。

夢の世界の会話によると彼は花、写真、絵、本などといった趣味があったようです。

オーブリーの髪をといてあげていたり、ケルに手を洗わせたり

世話焼きな面があるようです。

また落ち込んだときでも笑顔を見せる人であったと語られています。

彼はサニーを親友だと記しています。

マリからプレゼントされたカメラで、彼が最初に写したのがサニーだったようです。

落ち込んだときでも笑顔を見せるとありましたが、

ストレスが溜まった時はサニーに話を聞いてもらっていたとあります。

ストレンジャーがブラックスペースでこんなことを言っていました。

ストレンジャーはバジルの一部である

と以前の記事で書きました。

それを前提とすると、真実を知っていてなお

サニーに会いに来てほしいという気持ちは変わらないようです。

そして過去に悩み、望み、夢と自身のあらゆることを打ち明けていたようです。

バジルは自身を表す花をひまわりだと言っていました。

いつでも明るくポジティブな人間でいたいという願望を込めていたようです。

落ち込んだ時でも笑顔を見せていたのは、

そうした目標があったからなのかもしれません。

バジルはずっと祖母と二人暮らしだったようです。

親友であるサニーですら一度も両親に会ったことはなく、

両親に雇用されてやってきたポリーですら一度しか会ったことがないようです。

両親が居ない子供時代はとても孤独を感じていたかもしれません。

しかし彼にとってかつての日常はとても幸せだったようです。

バジルにとって6人がどれほど大切な存在だったのかがわかると思います。

 

マリ

マリの人物像を正確に捉えるのは最も難しい気がします。

夢の世界のオーブリーが、

マリはいつも落ち着いているように見えると言っていました。

ゲームを通してマリが泣いている姿というのは包丁で手を切った時、

そしてサニーが湖で溺れかけた時くらいしかありません。

また周りを明るく前向きにさせる人であったようです。

その特質は生来の精神の強さを持つ人の特徴に似ています。

夢の世界のケルのスキルに元気づけるというものがありましたが、

夢でも現実でも彼は人を前向きにさせて元気づける場面が多くあります。

ただし生来の心の強さは他人の弱さを理解できなくさせます。

そもそも同じ経験をしても耐えられるのですから、

経験に基づく共感というのも難しいです。

本人が鬱にかかる可能性は極端に低いですが、

鬱傾向にある人を追い込んでしまう確率は極端に高いと言われた事があります。

ケルは夢世界で寝込むスペース船長の感情を爆発させました。

現実世界でも寝込むヒロを説得しようとして、あの事件が起きました。

さて、マリはどうだったでしょう・・・?

マリはケルのような生来の心の強さを持っていたのかもしれません。

マリとケルが似ていると思える部分は他にもあります。

この写真を見ると、意外にもマリは漫画に興味があったようです。

スペース船長に興味津々な様子。

他にもマリは木から落ちてきた昆虫について説明している場面があります。

昆虫が平気で、見た目でクワガタの種類を判別できるほど知識があるようです。

またかつてはソフトボールをしていて、スポーツも嗜んでいた様子。

一方、ケルも虫は好きだった様子

ケルがオーブリーに対してイタズラをするように、

マリもヒロにとてつもないイタズラをしていたようです・・・。

夢の世界のマリにケルのイタズラについて話すと、

さりげなくケルの側の気持ちを察していたりします。

意外かもしれませんが、

マリは少し少年のような心を持った人だったのかもしれません。

マリの言葉からサニーの写真嫌いがわかります。

いつもポーズを決めるオーブリーやケルと違い、

あまりしっかり写っていないのはそのせいなのかもしれません。

マリの言葉から、サニーは暑さが苦手なことがわかります。

ツリーハウスを作るときの記憶にも、

暑い日は勘弁してほしいというような文言がありましたね。

マリのサニーに対する愛情はとても深いものがあります。

湖でサニーが溺れた時、既に水の中にいた兄弟よりも

素早く救助にかけつけたエピソードがそれをわかりやすく物語っています。

ケルと同じく姉弟に関わる出来事は

彼女にとって大きなトラウマになるのかもしれません。

この事件の後は二度と湖のたまり場に行きたがらなかったようです。

どうしてマリがあそこまでサニーを愛するのかは物語では語られていません。

マリにとって単に弟であるという事もあるとは思います。

それ以外は予想するしかありませんが・・・。

マリ以外の4人を見てどうだったでしょうか?

私にはサニーはケルともヒロとも、オーブリーともバジルとも

強い信頼関係を築いているように見えます。

自分が安心して誰にも話せない秘密を聞いてもらう相手とはどんな人でしょうか?

ヒロとケルの兄弟は4年ぶりであっても会いに来てくれ、

いろんな場面でサニーを助けてくれました。

ケルは誰にも話していなかった兄弟の秘密を話し、

湖に沈むバジルを見て迷うことなくバジルの救助を託しました。

ヒロはかつて将来の夢をサニーに語っていました。

オーブリーはサニーだけは家に連れてきていた形跡があります。

4年経っても彼への想いをみせることから、深い絆があったように見えます。

バジルはサニーを親友と言い、彼に多くの事を打ち明けていました。

皆から信頼されているサニーが自分にだけは甘えてくれるというのは、

とても可愛くそして自慢の弟だったのかもしれません。

 

彼らを鏡として浮かび上がるサニー

サニーは完璧な人間ではありませんし、多くの欠点があると思います。

ですがこの信頼関係を築き上げたのは12歳の少年です。

十分すぎるほどの人物像ではないでしょうか、

バジルは自身のことは願望で表しましたが、

マリ・ヒロ・ケル・オーブリーを正確に花で例えています。

サニーだけが間違っているのでしょうか?

白いチューリップ、シンプルで、謙虚で、無垢な花。

マリとバジルだけがサニーを大切にしていたというなら、

彼の評価は虚像である可能性は高くなります。

しかしサニーを信頼していたのが皆であったならば・・?

長い期間、全員が虚像を見る事などありうるでしょうか?

湖の風車は彼らの人間関係を暗示しているという説があります。

左が4年前、右が現代です。

ピンクはオーブリー、白は白いチューリップのサニー、

オレンジはオレンジジョーのケル、紫がマリ、水色がヒロで緑がバジルです。

生きている頃のマリはヒロの隣にあります。

しかし現代では墓参りをすることが最も多いオーブリーが近くなっています。

そして4年間墓参りにいけないでいるヒロが遠く、

たまにマリを思い出すケルが同じ位の位置にいます。

逆に現代のオーブリーはバジルから最も遠い位置にいます。

ケルはバジルからそう離れていませんがバジルがよく見えない位置にいます。

サニーの隣だけはずっと変わりません。

4年前でもヒロと並んで中心的な位置にいます。

この画像だけを最初に説明しても納得するのは難しいと思いますが、

5人を通して彼を見た今ならどうでしょうか?

 

個人的なエンディング考察

物語を通して現代の5人がどれほどマリを大切に想っていたかは

あらゆる場面で語られています。

ですがサニーがマリと比べると大切では無かったという意味にはならないのです。

鏡を通してわかるのは、サニーもまたマリと同じくらい大切な人である事です。

かけがえのない人が過失によって命を奪われた時、

そして奪った相手もまた失いたくない人であったとき、

その人を信じているというなら、

彼らはサニーをどうするのでしょう。

4年前の楽しかった思い出を振り返るとき、

いつも大切な存在として彼がいたならば?

サニーが自ら真実を告白したあのエンディングであるなら・・・

この切り株に添えられた花束の意味が理解できる気がします。

グッドエンディングでサニーが笑顔を見せたことも。

バックステージの彼らがどうして自分たちを信じてほしいと、

サニーを信じていると言っていたのかも。

 

そしてマリを表すスズランの花言葉は

「人々に輝かしい未来を見せる力」

ひょっとしたら答えは最初からあったのかもしれません。